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カリスマのTTのレビュー・感想・評価

カリスマ(1999年製作の映画)
5.0
高校生の時にこの映画を観た時は、何か凄いことが語られている映画なのは分かったが、それが一体何なのか掴めずわけわかめ状態で 、観終わって最初に思ったのは「偏差値貧乏ですいません」だった。今回、シネマヴェーラでの黒沢清特集で久々に観たら、何を巡る話なのか少し理解できた。

要は、カリスマ(強者)と周りの森林(弱者)の両方を生かすことは不可能だ。もし、両者が生きる世界になれば、人間は動物のように善悪の価値観や理性を持たない存在になり、 我々が生きる社会は、殺戮や暴力が蔓延る無秩序な世界になってしまう。そうならないために、秩序(法律や軍隊)が存在し、「弱者を守り、犯罪者は排除しろ」というのが世界の法則になっている。

序盤で役所広司演じる主人公の刑事は、犯人(強者)と人質(弱者)の両方を生かすことを望むが、両方とも守ることができなかった。そして、最後で主人公は、生きるも殺すも「あるがまま」に受け入れるようになる。しかし、「あるがまま」というのは、前述のような理性を兼ね備えず、生き残るために周りを殺すということでもあるのだ。

これで間違ってたらごめんなさい。ただ、全編メタファーしかないので、人によって見方がそれぞれ違ってくる作品だ。あと、役所広司が幻覚キノコ食べてラリったりと愉快な場面もたくさん映画でもある。
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