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丹下左膳 飛燕居合斬りのHKのレビュー・感想・評価

丹下左膳 飛燕居合斬り(1966年製作の映画)
3.6
先日、『丹下左膳餘話 百萬兩の壺』を観たら面白かったので他の丹下左膳も観てみようとU-NEXTを検索したら、五社英雄監督、中村錦之助(当時35歳)主演の本作を発見。
さっそく観てみると、おおまかなストーリーはなんと “こけ猿の壺”の争奪戦で『~百萬兩の壺』と同じ。

しかしテイストは全く違い、こちらはいかにもの東映時代劇。音楽も『仁義なき戦い』の津島利章。
序盤では左膳がなぜ片目片腕になったのかのビギニングも描かれます。

五社監督はTV界から映画デビューした『三匹の侍』の2年後のまだ初期作品ですが、後期の五社テイストも既にチラホラ。
カラー作品なので、切られると明るい朱色の血糊がタップリ出ます。血には見えませんが。

『~百萬兩の壺』の“こけ猿の壺”は一抱えもある大きさでしたが、本作ではラグビーボールくらい。序盤の大人数での壺の奪い合いは投げて走ってまさにラグビーの試合。
忍者集団が井伊直弼の首を取り合いする筒井康隆の小説『万延元年のラグビー』を思い出してしまいました。

表向きは三味線の師匠、裏では泥棒集団の女親分を演じる淡路恵子(当時33歳)が若くてキレイな上に子分の藤岡琢也(当時36歳)より貫禄があるのがさすが。
柳生但馬守は丹波哲郎で大岡越前守は大友柳太朗。
二人とも別の映画では左膳の役もやっています。

やたら芸達者な子役は当時まだ10歳の『仮面の忍者 赤影』の“青影”こと金子吉延(青影の2年前)。
ラストで左膳と一騎打ちするのは、同じく赤影の宿敵、幻妖斎こと天津敏でした。

また気が向いたら他の丹下左膳も観てみようと思います。
HK

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