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悪魔をやっつけろのScriabinのレビュー・感想・評価

悪魔をやっつけろ(1953年製作の映画)
4.0
・二組の夫婦の完璧に破壊された倫理観。ただ金儲けができること。これが53年の作品?監督の作風もあるんだろうけど、何を取り締まるべきかが変わっているんだろうな。
・水タバコの音めっちゃするの良き。音だけで甘い匂いと温かい空気感が伝わってくる。ある意味でコロナイズされた北アフリカ。
・チェルム夫人役のジェニファー・ジョーンズが金髪だったせいかアニャに見えた。全然似てないのに。眉のひそめ方と高い頬骨かな。あと唇の形?
・一つひとつの台詞が現代風刺になっていて、ただの有閑サスペンスコメディと言い切れないほど政治色の強い作品。やっぱり原作者が左翼なだけある。どの辺がカポーティらしさなのか分からないけど台詞のリアリティなら納得。ブラウンロウも言ってたけど、こういう現代にも通じる文化批評みたいなの好き。
・「だから飛行機がよかったんだ」時間を命より大事にする実務的なピーターソンの思惑は、ウィットで窮地を乗り越える旧世代のヒーロー・ダンラザーによって邪魔される。
・サイレントのドタバタコメディにも似た車のエピソードや、いかがわしい客を乗せすぎてもはや面白くなった船長と船員、とてもプラクティカルに物事を考えてるのになぜかおバカに見えてしまうチェルム夫人、などなど昔ながらの喜劇要素満載。

R.シュトラウスみたいな(旧世界の)ネオナチ、飛行機=ハイテク、ドル一強、時間勝負、健康体操

ポストモダン特集#1
Gabriel Hecht "Being Nuclear" 2014より
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