たく

悪魔をやっつけろのたくのレビュー・感想・評価

悪魔をやっつけろ(1953年製作の映画)
3.4
一攫千金を狙う一行と一般人夫婦の奇妙な交流を描いてて、ジョン・ヒューストン監督にしては珍しいドタバタコメディと思ったけど、そういえば「ロイ・ビーン」もコメディタッチだったね。ジェニファー・ジョーンズがイギリス英語っぽい喋り方をしてたのが印象的で、空想癖のあるちょっととぼけたキャラが立ってた。ピーター・ローレがチョイ役ながら、やっぱり存在感あるね。本作は特に深いテーマなどはなく、軽めに楽しむ作品という感じで少々物足りなさが残る。

港町でアフリカ行きの船の出港を待つビリーとマリアの夫婦が、アフリカの英国領に眠るウランの密輸を企てる一行と合流する。そこでビリーがイギリス人のハリーとグェンドリンの夫婦に話しかけられ、思わぬ交流を持っていくという展開。グェンドリンには空想癖があり、ビリーが話したウランの話をオウム返しで自分も同じ目的だと語ってしまったところから事態が二転三転していくドタバタが見どころ。船がトラブルで出港できなくなり、グループのリーダーのピータースンとビリーが車で飛行場に向かう場面で、映像とBGMがシンクロするあたりからコメディ色を強めていく。

なんだかんだアフリカにたどり着いた一行が危険人物とみなされて現地の行政官に捕らえられてしまい、ビリーが機転をきかせて行政官に取り入るシーンで、リタ・ヘイワースの名前が出るのが時代の空気を感じさせる。彼女は「ショーシャンクの空に」(原作「刑務所のリタ・ヘイワース」)で描かれたようにセックス・シンボルとして当時絶大な人気を誇ったわけだけど、代表作の「ギルダ」はピンと来なかった。話は紆余曲折の末に、グェンドリンのとんでもない暴露から一行が犯罪者として捕まるという滑稽な結末となり、思わぬ人物がちゃっかりウランを手に入れるのがまさに「嘘から出た実」というオチだった。
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