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それから(1985年製作の映画)
3.0
★1988年に続き2回目の鑑賞★

 1910年に刊行された、夏目漱石の前期三部作の二作目にあたる作品の映画化。若くして異才の映画監督と名高かった森田芳光が監督。

 そもそも明治時代のいわゆる高等遊民の生き方というのが私のあるべき人生観と相いれないため、高等遊民が主人公の小説は、どんなに文学上素晴らしく、美しい表現に満たされていたとしても、心動かされることはない。
 本作初見時はそのような感情が植え付けられる前に観たものだから、森田監督が、「如何に綺麗に撮るかに腐心した」と言った(その後プッツン女優として名を馳せることになる)藤谷美和子の映像と演出が慎ましく、際立って魅力的で、かなり高評価をつけている。「寂しくって仕方がないから、また遊びに来て頂戴」というセリフも心に残っている。

 一方で、やはり齢を重ねてきて、どうしたって話の本筋には魅かれないので、松田優作の演技派としての一面も、森田監督の異才ぶりも感じることはできるのだが、平凡な評価になってしまう。
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