RAY

塔の上のラプンツェルのRAYのレビュー・感想・評価

塔の上のラプンツェル(2010年製作の映画)
3.9
“生まれてはじめて”


『塔の上のラプンツェル』。

タイトルは知っているし、観たこともあるはずの作品なのに僕の頭の中にはほとんど残っていなかった作品でした。
Disney+に加入して、その存在をあらためて認識したことで気になっていたところへ、フォローさせて頂いている方の幾つかのレビュー。
これはもう観なければいけないという後押しになりました。


『塔の上のラプンツェル』のストーリーは、何か特別なものがある訳ではないと僕は思いました。
実は、このレビューを書くまでにほとんど間をおかずに二度鑑賞したのですが、一度目の鑑賞では言葉にして伝えるのが難しいと思ってしまったくらいです。
ただ、面白くなかったから何も書けないだとかそんなことではなく、「何か大切なことを見落としている」。そんなことが思われて仕方がなかったので二度目の鑑賞に至りました。


二度目の鑑賞にして気付いたのは、「特別なものではない」と感じたことこそが答えなのではないかということでした。
ご覧になったことのある方ばかりかと思いますが、あらすじを少し。


〜STORY〜

主人公のラプンツェルは生まれて間もなく、魔女に拐われ、塔に閉じ込められた上、あろうことか魔女が母であると信じ込まされ成長しました。
ラプンツェルは塔の外に出たことが無かった為、外の世界をまったく知りませんでした。
しかし、そんな彼女にもある“きっかけ”が訪れます。
泥棒のフリンという男性が彼女の塔へ迷い込んで来たのです。
ラプンツェルは隠したフリンの“盗物”を返すことと引き換えに、自分自身をある場所へ連れて行くことを要求します。
そして、二人の物語が始まって行くのです…。


塔を抜け出したラプンツェルはたくさんの“はじめて”に出会います。
そのとき、僕等はしばしば日常に対して“特別”を求めてしまうことに気付かされました。
日常だけでなく、時には映画に対しても。
僕が一度目にこの作品を観た時、「特別なものではない」と感じたのもこのことが理由だったのだと今では思います。
ディズニーが『塔の上のラプンツェル』を通じて描いたことの一つは、“当たり前の素晴らしさ”なのではないでしょうか。

毎日歩くその道も、気の合う仲間と共にする食事も、辺り一面に広がる星空を見渡すことも、「明日はどこへ行こう」と眠りにつくことも。
僕等が当たり前と思っているそれらは、実は夢や希望で満ち溢れている。
「取るに足らない」とさえ思ってきたものたちは、僕らに生きていることの愛おしさを教えてくれているのだと思えます。


この映画のもう一つの魅力だと僕は思うことがあります。
それは、ディズニー・プリンセスとしてのラプンツェルの在り方です。
かわいい部分や美しい部分だけでなく、子供のようなあどけなさ、そして、ムーランやジャスミンとはまた異なる強さを併せ持ったキャラクター。
魅力的なキャラクターばかりのディズニー・プリンセスの中でもさらに、特徴的で魅力的な存在だと感じました。


もしもまだご覧になったことがない方にはおすすめです。


観て良かった。
RAY

RAY