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ザ・ビッグマンのHKのレビュー・感想・評価

ザ・ビッグマン(1972年製作の映画)
3.7
引き続きエンニオ・モリコーネ追悼シリーズ(その4)。
あ、パケ写がない。マーク数も極端に少ない。
カーク・ダグラスとジュリアーノ・ジェンマ、2大スター共演の貴重品なのに・・・。

監督は『南から来た用心棒』『新・黄金の七人=7×7』のミケーレ・ルーポ。
トニーノ・ヴァレリ監督の『怒りの荒野』では凄腕ガンマンのリー・ヴァン・クリーフに弟子入りしたジェンマでしたが、本作では凄腕の金庫破りK・ダグラスに弟子入りし、またも師弟対決を見せてくれます。

昔TVの洋画劇場で観て面白かった記憶があり、中古DVD屋で数百円で購入したまま長らく放置していたのをこの機に鑑賞。
で、再生してみるとコレがトンデモなく酷い画質。
フィルムは傷だらけゴミだらけで雨は降るわ雪も降るわ(天気じゃありませんよ)、退色してるわ音も悪いわ、まるで昔の闇ルートのポルノビデオ。
ネットで調べると、中古による劣化ではなく知る人ぞ知る最悪画質の商品(買うなと警告付き)であることが判明。
しかし他の盤は存在せず、今のところ観る手段はこれしかないため観念して観ました。途中からは少し慣れましたけど。

でもお話の方はというと・・・やっぱり面白かった。
無敵と思われた警報装置にクラシック音楽で対抗(?)するアイデアは秀逸です(よく聞くこのクラシックの曲名が“モーツァルトの交響曲第40番”だと当時この映画で憶えました)。
ダグラスの貫禄とジェンマのアクロバット・アクションの対比、フロリンダ・ボルカンの佇まいとモリコーネの劇伴(ちょっと地味目ですが)が飽きさせません。

途中のカーチェイスは先日観た『華麗なる大泥棒』と同じくちょっと長くてしつこく感じます。
昔TVで観た際に解説(たしか荻昌弘氏)で「アメリカ映画はB級作品でもカーチェイスには迫力とキレがあるのに、ユーロッパ映画はみなモッサリして歯切れが悪い」などと言ってましたが、当時の作品は確かにそのようです。

また、気になったのはネットで調べると尺は113分とあるのにこのDVDは93分。
20分どこいった!
確かに計画中のダグラスとジェンマの修行のくだりが短く端折られてる感があり。
一世一代の大仕事のはずなのに展開が早すぎて慎重さに欠ける気もします。
もし別に全長版があるのならぜひ観たいものです。もっといい画質と音質で。

原題は“The Master Touch”。 あれ、ザ・ビッグマンじゃなかったのね。
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