たな会No02

木枯し紋次郎のたな会No02のレビュー・感想・評価

木枯し紋次郎(1972年製作の映画)
4.0
股旅ものです。と申しましても、股旅ものの多くは渡世の義理と現実とのあいだで葛藤し、もがき苦しんだ末、自ら主人を裏切り、主人との対決や屋敷への討ち入りなどになり、殺したり殺されたりするのが定番ですが、本作は本人は潔白であり、筋の通った男であるからこそ、定番ものとは逆に、常に周りの人間から裏切られ続けます。この裏切りの反転が、本作公開の翌年に公開される『仁義なき戦い』に繋がっていくのだとみました。弾が残っている発言と、かかわりございやせん発言は無念と怒りに満ち満ちたどうにもならないリアルさがあり、観るものの心に響きます。菅原文太は『仁義なき戦い』同様、作品の9割ほどを苦渋に満ちた表情で過ごしてましたね。しかし、本作は一応本懐を遂げるんですね。ただやるせなさは残り続けたままです。続編もそっこうで観たいですね。三宅島脱出時の渡瀬恒彦と賀川雪絵の串刺しが最高だったことも付け加えときます。うるせえ感じがとてもよいです。