Ryan

トラベラーのRyanのレビュー・感想・評価

トラベラー(1974年製作の映画)
3.9
ジグザグ三部作のキアロスタミ監督発長編作品



ストーリー
誰もが幼き頃に持つ良心の呵責を、サッカー好きの10歳の少年がテヘランで開かれるサッカーの試合観たさに、両親や友人などに嘘をつき旅立つ姿を通し牧歌的に描いたヒューマン・ドラマ


監督 アッバス・キアロスタミ


面白い。
大人にはない感覚であり、誰しもが経験した事のあるような物語。

1974年のイラン映画だしモノクロだしと舐めていたが、冒頭から魅力的なキャラクターに引き込まれる。
このキャラの特筆すべき点は"良心の呵責"
子供心にまだ善悪の区別がつかず、平気で嘘をつける子供がいて、その子供の真っ直ぐな気持ちを応援したくなるしこれが才能ではないか?と我々観客目線では気づくが、この映画は人間の行動様式をまた正否のバランスを審査するように作られている。
そのため大人からの視点と子供の視点ではかなり違った見え方をする。それがこの映画の魅力であり、この世界の正義なのだろう。

きっとアッバス監督には狭苦しい世界に映っているのだろうし彼の追い求めるものには一生手の届かないのだろうなとこの作品だけだ思わせてくれる。
実にスタイリッシュで見事な出来栄え。
73分の割にあっという間だった。
Ryan

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