不在

トラベラーの不在のレビュー・感想・評価

トラベラー(1974年製作の映画)
3.8
昨今の映画は子供を純真無垢で善良な存在として描き、その子を全力で庇護したくなるように仕向けている。
何もしていないのに理不尽な目に遭い、その子を貶める物を、観客は容易に敵と見なす。
ではそうでない子供は擁護しなくてよいのか。
自分が何者かも分からず、善悪の判断も曖昧で、行動の責任も負えない。
特に貧しい国では、悪事に手を染めなければ生きていけない場合もある。
その責任が社会や保護者にあるのは間違いない。
『火垂るの墓』の清太もよく取り沙汰されるが、子供に責任を求めてはいけないのだ。
キアロスタミは子供という存在を通して、それを伝えようとしているのだろう。
不在

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