イワシ

マダム・サタンのイワシのレビュー・感想・評価

マダム・サタン(1930年製作の映画)
4.5
飛行船内でのミュージカル場面はあられもない程にテクノロジーを言祝ぐ電気と機械と人間の饗宴だが、この三つの要素が融合した装置こそ映画。運動が極に達した時に回転する歯車のイメージが露出的に現れるがこのイメージは映写機内のフィルムの回転を連想させる。のちの場面でケイ・ジョンソンがマダム・サタンの画面を外し素顔を示したように、『マダム・サタン』という固有の作品から「映画」そのものが露出したように淫靡な瞬間。

ローランド・ヤングの嘘を積み重ねる苦労人ギャグに爆笑(スクリューボールコメディ的と言ってもいい)。レジナルド・デニーの嘘に安易に乗っかったせいもあるが、デニーの妻ケイ・ジョンソンに愛人リリアン・ロスを自分の妻と偽りベッドから抜けると、その瞬間をデニーに目撃、時間稼ぎをしてたらジョンソンが寝室にやってきて…

飛行船のミニチュア特撮の出来も凄い。係留する飛行船と地上を走る自動車とのサイズ/動静の対比。動く車は歌い踊りながら飛行船に乗り込む招待客の流れに変貌し、機械と人間の無差別へ。墜落場面は明らかにタイタニック号の事故を模してるがさらにド派手。逃げ出そうとする楽隊を押し留めてタイタニックでの逸話のように演奏を強要するレジナルド・デニーにはさすがにドン引き。
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