LEONkei

アシッド・ハウスのLEONkeiのレビュー・感想・評価

アシッド・ハウス(1998年製作の映画)
3.0
『トレインスポッティング』で知られるイギリス人作家〝アーヴィン・ウェルシュ〟の原作を、‪プライマル・スクリーム‬やケミカル・ブラザーズやオアシスやベントレー・リズム・エース等々をバックに3話オムニバスで構成されるアシッド・ムービー。

映画より全編に流れるブリティッシュ・ロックのサントラが魅力的かもしれない。



スコットランドを舞台に労働者階級の地を這う底辺で生きる、クズでバカでどうしよもない人間たちの日常を描く。

『トレインスポッティング』と似た印象を受けるも似て非なる、よりドロ臭く人間が持つ痴態をより醜く描き出している。

決して気持ちの良い映画ではない。



第1章《ザ・グラントン・スターの悲劇》
サッカークラブを脱退させられ、彼女から愛想をつかれ、仕事もリストラ、親からも見放されるニートな怠情者の青年。

第2章《カモ》
酔った勢いか孕ませた女と結婚したはいいが、女の醜い素性と本性を知り結婚生活は悪夢。

第3章《アシッドハウス》
LSDにどっぷり浸り幻覚が常習化するジャンキー男は、ある日カミナリに打たれ赤ん坊と人格が入れ替わってしまう。



現在の立ち位置や環境や経験などで人それぞれお気に入りは違うだろうが、第2章の人間の虚しく悲しい絆はクズ度合いが良く表現されている。
‪T・レックスの〝Hot Love〟がクレイジーにハマっていた。‬



実際、世の中にはどうしようもないクズ人間がいる。

それは凶暴な犯罪者や詐欺師とは違い、社会にとっては無害な上に日常に普通に暮らす中で生きているクズ人間。

上手く言葉で表現できないが、そんなクズ人間に深く関わる人間は悲劇なのかもしれない。

しかし、そんなクズ人間でも何かしてやろう・どうにか立ち直らせてあげられはしないかと考えてしまう。

こちらの思いなどそう簡単には伝わらない、裏切られる事もある…。

それでも勝手に心配してしまう自分は、もっとクズ人間なのかもしれない..★,
LEONkei

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