クシーくん

コンフェッションのクシーくんのネタバレレビュー・内容・結末

コンフェッション(1998年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

思ったほど悪くなかったが、まあ評価が高くないのも頷ける。

明らかに凶悪犯罪を犯したバカな金持ちを弁護する事に嫌気がさした弁護士のラッセルは、弁護を降り被告人を糾弾。判事の怒りを買ってしまい、弁護士資格を剥奪されてしまう。失意の内にフロリダに移り小説家を志すも、執筆は遅々として進まず、釣りと酒に逃げる毎日。
そんな折、釣りを通じて仲良くなった老人から最近書いたという小説の原稿を渡される。原稿を読んだラッセルはその傑作ぶりに驚愕、訪ねに行くと老人は急死したと聞かされる。そこで老人の書いた小説を自らの名前で出版社に売り込む。異例のヒットを飛ばし、たちまち売れっ子作家として有頂天になるラッセル。ところが過去に小説の内容と寸分違わぬ連続殺人事件が起きていた事が判明し…というお話。

悲しいかな、老人の容貌が見るからに怪しいので物語の半分いかないまでに犯人の真相が何となく読めてしまう。
物語の大まかな筋や構成は魅力的ではあるが、結末を考える段になって息切れしたという他ないほど後半は厳しい。何度も警察は発見しているにも関わらず、その度に毎回逃すというのも余りに都合が良い。
見るからに怪しいブラフとして、凶悪犯サーマンとドスケベ出版社社長のジャニーンをわざわざくっつけたのもはっきり言って無駄なシーンだったとしか言いようがない。

ラスト急に雑にまとめてきた誹りは免れない。どんなに悪くなくても犯人撃ったらアカンでしょ。本作は根底的には「犯罪者に金で雇われて無罪にしてしまう弁護士」に疑念を投げかけるテーマが流れており、無実の罪を着せられた主人公がいかにして無罪を勝ち取るかを描く事こそ「黒を白にしてしまう弁護士」の汚名を濯ぐ反証的な名場面になりえたのに、肝心要とも言うべきラッセル本人の弁護シーンはバッサリカット。最後は海辺でアンニュイな横顔で尤もらしい事を独白で語らせて終わり。なにこれ?一番大事な部分を削っちゃダメでしょ。雰囲気のサスペンスを重視した結果、竜頭蛇尾に終わったように思う。

全体的に、そこはかとなくジョン・グリシャムの亜流みたいな匂いを感じる作品。劇中でも「グリシャムに勝つ」みたいなメタ発言してたけど、結局グリシャムには勝てなかったんじゃないかな。
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