ナイトアウェイク

-less [レス]のナイトアウェイクのレビュー・感想・評価

-less [レス](2003年製作の映画)
2.6
邦題 LESS-レス。
原題 DEAD END-デッドエンド。

数年前の初見は、全然面白くなかった。
けど、今回観直したら、めちゃめちゃ良かった。
この雰囲気、大好き。

内容を書いてる。
基本は、私自身への記録。
間違えて読む人は気を付けて。
読まなくていい、自分に宛ててるから。














クリスマスイブ、陽が沈んだ午後7時。
親戚のいる目的地へ向かうパパ、ママ、姉、弟の一家4人+姉の恋人の計5人。
片田舎にある長い夜道の、ドライブシーン。

車中の空気感から、家族それぞれが説明のできないモヤモヤを感じさせる。単なる家族の日常にも思える。運転疲れから、ドライバーのパパが正面衝突事故を起こしそうになって、相手の車を間一髪で回避。家族としては、九死に一生を得る程の状況だったと痛感する。

気を取り直し、再び走行し目的地へ向かう。
車のライト以外の光源はなく、真っ暗な夜道が続く。
そんな中、夜道を歩く一人の女の人と遭遇。田舎特有の、次までかなりある街灯すら無い。すぐわきには漆黒に染まる森が佇んでいる。何よりも、その身なりと印象から、何としても一番近くの街へ運んであげないと…。という、不意に湧く焦りと不安感に襲われる。

ある場所で車を停めたそこで、姉の恋人が姿を消してしまう。そこから、どんどんと何やかんやが展開していく。
画質が粗い(悪い?)し、夜だから劇中はずっと暗い。終劇少し前まで、とにかく夜道が舞台。夜道の遠出先のドライブという状況が好きだから、私はすごく面白かった。中身というより、その状況が好きで観れた。

終劇直前、完全なる中身(ネタバレというやつ)。
パパが回避できたと思ってた一家の正面衝突事故は、現実に起きていた。生き残ったのは姉だけで、気を失ってた時の悪夢がこの作品の描写だった事。
そして、夜道を歩く女の人は、まさに衝突した対向車にいた被害者だった事が分かる。
では、なぜ生き残った姉の悪夢に、その女の人が現れたのか。単純に、衝突直前に一瞬、姉はその女の人を無意識にも見えたからなのか。いわゆる霊的現象の一つで、子どもを抱えた母の、未練を残したまま亡くなってしまったがゆえに、こちらに現れたものなのか。
姉が目を覚ました時に看病してくれてた看護婦さんの名前が、劇中で目的地にした街の名前。いくら進んでも進んでも、辿り着く事ができなかった目的地。その名前を持つ看護婦さん。
そして、やっと辿り着いた(出会えた)目的地。自分が生き残った代わりに、失った大きいもの。
世の中には白衣の天使という言葉がある通り、この看護婦さんは、生まれる事、生きる事を象徴した天の使いだったと思う。逆に、事故を通報した黒い服の男。これは、悪魔や死神だったのかも知れない。
では、なぜ姉は死なずに生き残ったのか?
悪魔は、その相手を生かしたまま苦しませて、それを糧にもする場合もある。その線で考えるなら、恋人の子どもを宿したまま事故相手は死に、両親、弟も死に、自分の家族が対向車の相手(母子)を死なせてしまった苦悩。一生涯癒えない苦しみを抱えた姉は、悪魔にとってはいいお菓子になる。
劇中の出来事が姉の悪夢であるなら、弟がドラッグでハイになるシーン、弟が実は別の男の人の子どもだった事、父には逢瀬を重ねた相手がいる事。これらも、全て夢の中だけの事なのか?多分、全部事実なんだと思う。
姉は、母と別の男の人の情事を、偶然にも目の当たりにしたんじゃないかと、容易に想像がつく。父の友人だったと言うから、その人が家に来るくらいは、それ程特別でもない。
父が他の女の人との逢瀬についても、掛かって来た電話に姉が出た事で存在が焼き付いたとか、幾らでも可能性はある。弟のドラッグについても、友人関係や素行を考えても、身近なものだったんだろうな。言動からして、かなり不良っぽいし。もし素行不良に拍車がかかっと言うなら、その理由は本当の父親の事とかで苦悩してたとかあるかも。


劇中の弟が、雑誌のエッチなページで一人で頑張るシーンがあるけど、相当に仲の良い人とじゃない限りは、単独で鑑賞した方がいい映画。

記録。