まこぞう

堂堂たる人生のまこぞうのレビュー・感想・評価

堂堂たる人生(1961年製作の映画)
2.3
源氏鶏太が原作だろうが裕次郎映画は裕次郎映画。ずばり言えば、くだらない。

弱小玩具会社勤務の何をやっても上手くいくスーパーサラリーマンの話。
当時の女性はそれにときめいたのだろうけど、今なら酷くヤな奴にしか見えない。
そもそも裕次郎は今の基準で言えばそんなに男前でもないから、単なるカン違い野郎にさえ映る。
寿司を握るシーンはホトケな私でもイラっときた。あのシーンは無音(環境音のみ)が続いて変だったけど、それは良い意味で変だった。わざとかな。

コメディリリーフの長門裕之が良かった。大映だったら船越英二がやっている役だろうなあとシネフィルのようなことを思った自分を恥じた。

人のよさそうな社長・宇野重吉の変な喋り方は監督の指示かな。いずれにせよ、すごく気色悪くて大失敗だ。

桂小金治はその臭い演技は歳をとるごとに鬱陶しくなる。彼は若い時に限る。

大阪の子供に「怖いオバはんや〜!」と言われ「コラッ!」と返す芦川いづみの表情は本気でムッとしているのが分かった。実際、この映画では顔が異様にオバさんっぽい。麻薬でも始めていたのかな。

食堂車の会話で電車のことを1961年当時ではまだ汽車と言っていたのが分かった。

病気の裕次郎を芦川いづみが見舞ってチキンラーメンを作る。

裕次郎 : 「君が作ったチキンラーメンはいつもより美味しいよ!」

芦川いづみ : 「何言ってるの。いつもは独りで食べているから(そう感じだけ)よ」

裕次郎 : 「ああ、そうか。ははは」

ここで孤独な映画おじさんである私は涙。

くだらないと言いながらも最後までちゃんと観た。若い頃だったらイライラして最後まで観れなかったかも知れない。歳をとってしまったものだ。
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