櫻イミト

夏の夜は三たび微笑むの櫻イミトのレビュー・感想・評価

夏の夜は三たび微笑む(1955年製作の映画)
3.0
愛というものを、少し斜にかまえて見つめてみようというのが狙いだった。しかし私の根本の考えはこうであった。「もし愛というものが一つの悪だとしても、愛よ万歳!」――ベルイマン

本作の撮影中に、ベルイマンと14歳年下の愛人ハリエット・アンデルソンは破局を迎え3年間の関係に終止符を打つ。(このことに関しては二人の始まりとなった「不良少女モニカ」(1952)レビューに記述した)。

弁護士フレデリックは20歳年下の後妻と一緒になったが性交渉を持てずにいた。そんな中、かつての情婦との再会をきっかけに彼らを取り巻く男女の恋愛がもつれはじめる。。。

テーマは先んじる「道化師の夜」(1952)と同様”愛と性”に関するものだで、前作は悲劇だったのが本作は艶笑劇として作られている。どちらも主人公は敗北者となるが、大きな違いは最終的に主人公が落ち着く女性とのスタンスであり、ベルイマンの若き愛人ハリエットからの卒業を意味している。

本作は国際的にも評価を受け、いよいよ翌年「第七の封印」(1956)が放たれる。

これまでスウェーデンの批評で貶され続けてきた私の映画だったが、この作品はまず外国で絶賛された。と、面白いことに、スウェーデンの批評も一気に語調を変えた。だが、それを単純に真に受けることはできない。私は常に防御態勢を怠らずに、映画を撮り続けているのだ――ベルイマン
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