不在

夏の夜は三たび微笑むの不在のレビュー・感想・評価

夏の夜は三たび微笑む(1955年製作の映画)
4.4
商業的に成功しないと映画を撮らせてもらえないという窮地から生み出された、ベルイマン流のコメディ。
テーマは愛の不毛だ。

作中で愛はゲーム、戦争だと明言されるが、その被害者はいつだって残された子供なのだ。
愛を知らずに育った息子が苦しみ、自死にまで至る中、大人達はそんなゲームに熱を上げている。
ベルイマン自身、父親との関係に悩み続け愛が分からなくなった結果、結婚と離婚を繰り返すようになった。
つまり弁護士のフレデリックとその息子ヘンリック、どちらもベルイマンの分身になり得るのだ。

フェリーニも時々用いる技法として、「男という生き物は、浮気ばっかりしてろくでもない」というような言葉を観客に向かって役者が発するシーンがある。
しかしそれは明らかに監督本人の贖罪の言葉だ。
反省の念なら、本人に直接言いましょう。
不在

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