『夏の夜は三たび微笑む』(Sommarnattens leende、Smiles of a Summer Night)1955 スウェーデン
「若者は自分しか愛さない。恋に恋しているだけだ」
「男たちはみんなデジレに夢中になる。でもデジレは自分以外愛さない女」
「夏の夜は三たび微笑む。悲しい者、虐げられた者、夢破れた孤独な者のための微笑みだ」
37歳のベルイマンはプロデューサーから「この映画がヒットしなかったら君の監督人生は終わりだ」とプレッシャーをかけられる。胃の痛み、女優ハリエット・アンデルソンとの破局に悩みながらシェイクスピアの『夏の夜の夢』をヒントにしたロマンチック・コメディを作る。
作品はヒットしてベルイマンは『第七の封印』を撮ることが出来た。
後の哲学的な映画とは全く違うロマンチック・コメディをベルイマンは手堅く仕上げた。
原案はシェイクスピアの『真夏の夜の夢』だと思うけど夏の夜の恋の喜劇という点くらいしか共通項はない。自由な翻案という感じ。
巨匠の未来を切り拓いた一品。
キューブリックにとっての『スパルタカス』、黒澤明にとっての『姿三四郎』という位置付けかも。