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夏の夜は三たび微笑むの映画のレビュー・感想・評価

夏の夜は三たび微笑む(1955年製作の映画)
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シェイクスピアの『夏の夜の夢』を下敷きにしたロマンティック・コメディ。

恋愛はゲーム?戦争?男の自尊心はくすぐらなければいけないの。恋愛は面倒ですね。

登場人物の相関図は、複雑極まりない。全員が浮気している。弁護士フレードリック・エーゲルマン、妻アン、先妻の息子ヘンリック。エーゲルマン家の女中ペードラ。女優デジレー・アルムフェルト。マルコム伯爵、妻シャルロッテ。伯爵家の召使い、フリード。

三角関係という言葉は耳にするけれども、これは一体何角関係か。

やはり、ユーモアの要素が目立ちますね。男性の虚栄心が皮肉に描かれている。晩餐会の場面で、アンがヘンリックに優しくして、衝撃を受けているエーゲルマンの顔をアップで抜く瞬間の「ジャジャーン‼︎」というSE。面白い。

ユーモアだけではなく、妖精の国にいるような幻想的な雰囲気も魅力である。例えば、飲んだ人間は恋に落ちてしまうという魔法のワインを全員で飲む場面。登場人物がワインを口にする瞬間をひとりずつゆっくりと撮っていて、緊張感が高まっていく。BGMも『夏の夜の夢』のような妖精界の雰囲気がある。
デジレー役のエヴァ・ダールベックの歌声も映画の雰囲気に彩りを添えている。

アルムフェルトが計略を巡らした晩餐会。屋敷のからくり仕掛け。コメディの設定として抜群である。最後のロシアン・ルーレットの決闘も緊張感がある。

ちなみに、個人的には、アンとペードラ、奥様と女中の関係である両者が、会話の途中にげらげらと笑い出して、二人でベッドに倒れるシーンが好きだ。レズビアン的、官能的な女性の連帯を見たような気がする。
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