くまやぼのみまふさ

こっぴどい猫のくまやぼのみまふさのレビュー・感想・評価

こっぴどい猫(2012年製作の映画)
3.4
自分にとっての今泉の最初期作。かなり楽しみにしていたが、こういうどんでん返しの結末ってあったとしてもささやかな方が望ましく、こんなに派手などんでん返しはなんかイヤだ嫌いだ。狭い人間関係で重なり合う恋愛相関は今泉の十八番なんだけど、他の作品ではそんな人間関係でも壊れてしまうのをやはりなんとか最小限に留めたいという小市民的常識の上に成り立っていたと思うが、この作品後半のスナックでのカタストロフィはモト冬樹のために用意しました的場面、つまりモト冬樹の見事なちゃぶ台返しという技を見せつけられる場面ということでどうにも鼻白んだだけでなく後味も悪い。楽しみにしていた今泉映画が一瞬にして興味のないタレント映画になってしまった感が強い(モト冬樹生誕60周年記念には悪いが)。それはガン患者に扮した今泉自身が誤診報告を受ける場面でのメタ演出において「あらら…」と萎えて、小夜を演じた女優も最後の最後に「キモい」というセリフを言わせる底の浅い演技をさせられて損をしたのではないのかしらんと気の毒になるほどだ。