Omizu

トイ・ストーリー3のOmizuのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー3(2010年製作の映画)
4.0
【第83回アカデミー賞 長編アニメ映画賞、歌曲賞受賞】
シリーズ3作目にして最高傑作とも言われる。その年のアニメ映画賞を総ナメにし、アカデミー賞では『美女と野獣』『カールじいさんの空飛ぶ家』に続きアニメ作品として3作品目となる作品賞ノミネートを果たした。

こりゃズルいよ。泣くわこんなん。アニメーション技術、ストーリーのどちらも一級品。「おもちゃとは何か」を突き詰めた傑作ではないだろうか。

そもそもピクサー、というか3Dアニメに苦手意識がある。未だに『モンスターズ・インク』も一作も観ていないし、昨年の受賞作『ソウルフル・ワールド』や今年の有力作『私ときどきレッサーパンダ』も観ていない。

やっぱり苦手だなとは思ったし手描きアニメやストップモーションの方が好きではあるが、これは認めざるを得ない。完璧と言っていいほどのクオリティだよね。

序盤はいつものウッディが勝手なことを言っている感じで進むけど、中盤からはほとんどホラー的とも言える緊迫感のある展開を見せていく。赤ちゃん人形の怖さったらない。猿も然り。悪役であるロッツォにも同情せざるを得ない背景が描かれたりと抜かりない。

あといいなと思ったのは作戦を実行するところで、バービーがケンに仕掛けるのが色仕掛けじゃないところ。男のエゴを露出させて物理でいくっていうのがよかった。

細かいところを言えば、突っ込みどころがないわけではない。ゴミ収集所の操作室がなんで都合よく無人なのか、ロッツォの末路は単なる偶然では、とか疑問はある。

でもそれを無にさせるくらいラストが素晴らしい。ウッディたちは他でもなく「おもちゃとしての運命」を選択する。ここまでおもちゃとは何かを考えたアニメ、いや映画ってないんじゃないか。それぐらいすごいことをしていると思う。

好き度で言ったらジブリ作品には及ばないけど、クオリティとしては文句のない傑作でしょう。ここまで完璧だと賛否両論ある『トイ・ストーリー4』観るのが怖いな…
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