緑雨

ぼんちの緑雨のレビュー・感想・評価

ぼんち(1960年製作の映画)
4.0
女たちに振り回される人生、でありながらも、けっしてノラリクラリかわすだけでもなく尻に敷かれるばかりでもなく、何とか一矢報いようとする「きくぼんの意地」が垣間見えることで、話に一本筋が通っている。

それにしてもこの題材で全く古さを感じさせないのは凄い。随所で演出も効きまくり、挙げたらキリがないほど印象的なシーン満載。便所に屹立する鉢植えの枝、の図には爆笑。登場人物のキャラクター付けもコミックばりのやり過ぎ感がありながらリアリティを失っていない。さらにカメラワーク。シネスコ画面の左半分に登場人物を配し、右半分は誰もいない床の間を捉える。この構図は何なんだ!と感心してしまった。

「時代」が描けてるのも良い。昭和恐慌の取り付け騒ぎや競馬場のシーンでの群集の活気も画面から溢れていた。
緑雨

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