似太郎

ぼんちの似太郎のレビュー・感想・評価

ぼんち(1960年製作の映画)
4.6
【放蕩息子】

市川崑監督✖️撮影宮川一夫のコンビでは『おとうと』よりも好きだったりする市川雷蔵主演の好色一代記。原作は山崎豊子。

果てしなく豪華な撮影、美術、セットや贅沢を極めたゴージャスな女優陣(若尾文子、中村玉緒、越路吹雪、京マチ子、山田五十鈴etc…)などこの頃らしい文芸ドラマのいいとこ取りで、雷蔵の演じる若旦那の飄々ぶりが大いに笑える一作。

昭和初期の大阪人らしいバイタリティー溢れる商売人の若旦那(ぼんち)を取り巻く女たちのすっとこどっこいな人間模様が楽しめるエンターテイメントとなっている。主人公がワガママなのに、なんか憎めな〜い。

ワチャワチャ楽しい大阪の時代色豊かな映像美にひたすら酔える作品で、戦前から戦中、戦後へとひたすら駆け巡る若旦那を狂言回しに据えた日本の縮図がある。

ラストもどこか哀愁が漂っており素晴らしい幕切れだった。やはりこれは傑作。
似太郎

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