マーくんパパ

ぼんちのマーくんパパのレビュー・感想・評価

ぼんち(1960年製作の映画)
3.9
山崎豊子の小説大阪船場モノに中学時代ハマって愛読した時期あった。大店旦那の花街遊びや女系家族の式たりや婿旦那の悲哀etc古き良き大阪商人の知らない世界に何故か魅せられた。女家系から久し振りに産まれた男の跡継ぎ5代目足袋問屋の喜久治(市川雷蔵)の半生記。祖母(毛利菊枝)、母(山田五十鈴)、里に帰された妻(中村玉緒)、花街の幾子(草笛光子)、お福(京マチ子)、ぽん太(若尾文子)、女給の比佐子(越路吹雪)らと取り巻く華麗な女優陣、雷蔵の放蕩ぼんぼんからお妾さんにも優しくしながら気根性ある商人ぼんちに変わっていく姿を昭和初期から戦後へと激動世相を反映して市川崑がきっちり描いて見応え充分な内容になっている。お妾さんの本宅伺い、妾が産んだ子との手切金(男5万円、女1万円)、旦那は妾の葬儀には一切出られない等独自の風習が興味深い。分を弁えた関係とそれを受け入れた3人の日陰の女たち、その図太さと大らかさを象徴した疎開先の寺の湯殿で戯れるシーンが印象深い。