Nanami

赤垣源蔵のNanamiのレビュー・感想・評価

赤垣源蔵(1938年製作の映画)
4.8
阪妻の演技力が爆発。
コンパクトな尺ながらとても良く出来ている。
飲んだくれの浪人と周囲から疎まれているが、実は主君の仇討ちに向けて時が熟すのを待っている赤垣源蔵。
仇討ちを果たした末には自決する覚悟をしているので、想いを寄せてくれる美人にも無神経なことを言うし、先のことは考えない。そんな態度で周囲の目は冷たくなるばかり。どうかわかってくれ〜〜この人仇討ちするんだよ〜〜と代わりに言って回りたくなるね。
ついには居候先の兄の屋敷を追い出されて惨めな思いをするが、いつも飄々として明るく振る舞う源蔵の姿にこみ上げるものがある。

雪の中、討ち入り前夜に兄の屋敷を訪問するシーンは切なくて見ていられない。
源蔵帰ってからの兄と兄嫁のやりとりはちょっと意味わからんかった。兄貴めんどくさ!もうちょい素直に源蔵に優しくしてやれなかったのかよ。

そして本作ではメインではない討ち入りシーンだが、さすがは阪妻、迫力ある殺陣に圧倒される。これよこれ。阪妻出てるからにはこれを見せないとダメです。

仇討ち成功後ビッグニュースとなり世間ではヒーロー扱いされる赤穂浪士たちだが、親族からしたらそれ即ち永遠の別れを意味していた…
なんていい映画なんだろう。しばらく引きずりそう。
本当に阪妻がかっこいいです。お顔も殺陣も表現力もやっぱ当時のトップだったんだなとわかる。
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