◆ All around us ◆
10年ひと昔というけれど、ある夫婦の10年を切り取った作品。
英題は「All around us」
なるほど。
グータラ亭主ときっちりな嫁がぐるっと周りを見渡して見えるものたち。
喪失、憧憬、追憶、しがらみ
色んな人と色んな出来事が雑多に散らばっていてその中をおぼつかない足どりで進んでいる
夫の分もしっかりしなきゃと、キッチリうまくやるはずだったのに出来なかった妻
女好きのテキトー夫はしなやかな強さを持っていて意外にしっかりしていた
法廷画家という設定がまたうまい。
世相を表す事件とともに歩いてゆく日々。
うまく進めなくても思うようにならなくても。
ふと気づくと10年後に立っている。
ぐるりのことを並べていったらなんだか人生や絆が浮かび上がっている。
この伝え方が実に日本人の"芯を食って"いて、邦画の良さってこういうとこだと思った。
無理して欧米や韓国映画の真似をする必要なし。
小説「東京タワー」の溢れる情感といい
リリー・フランキーの才能には驚き。
正体不明感と絶妙な気持ち悪さw
希少性が高い俳優だ。
"泣いたら良い人なんかなぁ
人の心の中はわからんのよ、誰にもね"
"生きるのも技術"