くるぶし

ぐるりのこと。のくるぶしのレビュー・感想・評価

ぐるりのこと。(2008年製作の映画)
4.2
ある出来事をきっかけにして、うつを発症してしまう妻・翔子を演じる木村多江を筆頭に、技巧派な俳優陣がとってもいい仕事をしている好編。翔子の夫で法廷画家のカナオを今や役者として大活躍のリリー・フランキー。彼は顔で演じていないので、際立った特徴のない役柄がすごくハマっている(ホメてます)。
そして役者陣の中で、どうしても触れずにいられない一人が加瀬亮。90年代に世間を震撼させた殺人犯役、法廷での1シーンは必見。実在した人物ですが、完全模倣するわけでもなく。…で、あれ。衝撃!! なんつー役作りをしてるんだ、とド肝を抜かれました。
今までの作品も本作も、橋口監督が描く人々は世間的に立場が弱い人たちばかりです。でも、そんな弱者たちが、のた打ち回った先に手にする光がどんなにあたたかいことか。
弱くても一本筋が通った人間描写力がすばらしいので、ずいぶん時間が経ちましたが次回作も期待しています。
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