ばーとん

放浪記のばーとんのレビュー・感想・評価

放浪記(1962年製作の映画)
3.0
林芙美子という人の、世を拗ねたアナーキストの変人っぷりを、高峰秀子が渾身の演技で魅せる。顔芸が凄い。カフェでトレイを片手にアホみたいに踊るシーンにはのけぞった。腋を固める役者陣もいい、ことに伊藤雄之助のリアルな現代風の芝居に感嘆。だが、映画は良くも悪くも林芙美子の半生記であり、そこそこ見られる文芸モノ。成瀬らしい鮮烈な演出は殆どない。クライマックスも宝田明の演説、林の死といったお約束だし、これ別に成瀬じゃなくても良かったのでは。
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