yatsu

放浪記のyatsuのネタバレレビュー・内容・結末

放浪記(1962年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

男への執着、自己憐憫、弱者のナルシズム。歪んだ自己愛と奥底の弱さがみて取れた。己の悲壮を恨み節で吐露するという作家性で成功するまでの放浪が描かれている。彼女の恵まれない境遇も伝わるけれど、他との接し方、ライバル作家や自分に惚れている男への不義理、成功後の見栄坊ぶりが観ていて痛々しい。
台詞の通り、ごみ箱の生臭さのような林芙美子の人間味をひしひしと感じる映画だった。小綺麗な描きかたをせず、えぐみのある情緒を引き出していて良かった。
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