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激流のyawaraのレビュー・感想・評価

激流(1994年製作の映画)
4.1
ワンちゃんがとてもかわいい。

休日の川下りを楽しむ家族が、強盗の逃走に巻き込まれる。
彼らが要求する川下りのルートには激流があり、その攻略には力を合わせなければならない。家族は自身を強盗から守らなければいけない一方で、彼らとの奇妙な協力関係が成立する。
キャラクターの中でただひとり過去にその激流を味わった女性が、実はもう一度味わいたいと思っているのでは?という節もあり、この挑戦にはある種の必然性を感じさせる。
激流は今作品の象徴であり、家族が協力して乗り越えていく事柄としてのメタファーにもなっている。これを邦題としたのはお見事。
ヒヤヒヤとする感覚と自然の雄大さも上手く掛け合わされて、エンターテイメント性をたいへん高く感じました。

エピソードそれぞれも示唆に富んでいて、中でも取り上げたいのは子供へのプレゼントとした200ドル。
ケビンベーコン扮する強盗の浅はかさを端的に描いていて、それを断られることから彼らの間に溝が拡がるのが物語の流れにもうまく符合してます。

川下りの様子は臨場感があふれ、これは映画館で見たかったなと。不満点はそこだけ。
構成は言うに及ばず、種まきとその回収が実に優れています。状況の示し方、BGMと映像のシンクロ、キャラクターの表情など、カーティスハンソンの思いと技術がどんな小さな事でもあらゆるところに行き届いている。ダイナミックさも併せ持ち、見応えのある一本。

経験や知識はとても大事というメッセージ性も強く感じました。
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