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春が来ればのodyssのレビュー・感想・評価

春が来れば(2004年製作の映画)
3.7
【多面的な魅力を秘めた作品】

韓国映画。 

ソウルで音楽家として出世する夢を断たれかけた中年トランペッター(チェ・ミンシク)は、地方の炭坑町に移り、そこで中学の吹奏楽部を指導することに。 

様々な家庭環境の生徒たち、薬局の若い女性、ソウルから電話をかけてくる母親、などなどの人々が、生きることのつらさをさりげなく見せている。 

一応、挫折した中年音楽家が生徒たちの指導を通して更生し、生徒たちの方も演奏が上達するという筋書きではあるのだが、それがあからさまに表には出ず、むしろ筋書きの曖昧さを通して地方都市の営為を淡々と示しているところに、この映画の魅力がある。

韓国映画も成熟してきたな、という印象を受けた。
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