NoAceJustYou

es [エス]のNoAceJustYouのレビュー・感想・評価

es [エス](2001年製作の映画)
3.5
2021/5/29鑑賞。69点。

<見所>
主人番号38番のハゲ、どう見てもプール監視員じゃない
リメイク版は、坊主にして小便かけるシーン & 便所掃除のシーン だけ異常に忠実に描いてた気がする
女博士のスタイル良すぎ問題、おっぱい綺麗すぎ問題
映画の製作サイドと主人公がLinkin Park好きなので、私にとっての類友

悪名高き<スタンフォード監獄実験>をおそらく最初(?)に取り扱った映画。広い括りだと刑務所もののジャンル。主人公の彼女不要だと思ってたけど、ラストの役割考えたら必要だったのかも。

そもそもこの<スタンフォード監獄実験>の当初の目的は、ヒトラーが行なった人格改造の汎用性を証明することだったはず。
ナチス高官には、元々凶暴だった人はほとんどいなかった。ドイツへの愛国心があった人を選定してナチス将校に迎え、その後ヒトラーが人格改造して、元々持っていた愛国心をナチスへの忠誠に向けさせたと記憶してる。
この実験を通して、環境さえ整えればどんな人間も凶暴にできることを証明してしまった・・・。


<あらすじ、ネタバレあり>
主人公で記者・タレクは、ある大学が行う実験の被験者として参加する。
トーン博士とグリム博士を中心に進められるこの実験は、刑務所の生活を疑似体験する内容だ。被験者は看守と囚人に分けられる。タレクは意外性のあるネタだと考え、実験には小型カメラを仕込んだメガネをかけて参加する。

囚人は決められた時間に決められた作業をする、看守は囚人にルールを守らせることが条件だった。

実験当初、看守の気に触れるようなことをした囚人がいれば、タレクは庇ったりしていたが、それが逆に悪目立ちして看守の機嫌をさらに損ねてしまう。

タレクと同房の囚人番号38番ことシュタインホフは、タレクの悪目立ちを警告し、看守との対立を避けるようアドバイスする。タレクの囚人の対立が続けば他の囚人たちも巻き込まれ、看守の罰の対象になってしまうからだ。

それでも嫌がらせに抵抗するタレクに腹を立てた看守らは、消火器で囚人たちを襲い、服を奪う。
その後、タレクは皆の前で看守・ベルスのワキガをからかったことを機に、さらに対立を深めてしまう。

タレクとシュタインホフは互いの素性に気づく。
タレクのメガネに小型カメラが仕込まれていることから、彼が記者だと気づくシュタインホフ。
一方で、細かな作業に手を抜かず、全てにおいて手際の良いシュタインホフが軍人だと見抜くタレク。
空軍少佐のシュタインホフは、軍の命令で潜入捜査をしていた。
(シュタインホフはなぜ軍から潜入捜査を命じられてたんだろ?
以前から大学は実験をやってて、政府が問題視してたのかな?)
(ちなみに...シュタインホフは当初、プールの監視員として普段は働いていると言っていた)

その夜。看守たちに眠っているところを襲われたタレクは、髪を剃られ看守たちにションベンをかけられる。それでもタレクは実験からの離脱を申し入れようとはしない。
タレクは他の囚人らとも交流を深めていき、囚人番号82番ことシュッテとは特に話すようになる。シュッテは、これまで何度も実験の被験者になったことがあるという。被験のバイトで稼いだ金を貯めて高級車のフェラーリを買うことが夢らしい。それ以降、タレクは家族も友人もいないシュッテを気にかけるようになる。

一方、同房の囚人番号69番ことジョーは、トーン博士らに実験からの離脱を相談するが、そのことが看守らにバレてしまい、裸で一夜を過ごすよう強要される。

看守らのエスカレートする行動に危機感を持ったグリム博士は、実験の中止を求めるが、プロジェクトの責任者であるトーン博士は耳を傾けず、実験の継続を決める。

看守・ボッシュが、仲間の暴走に不快感を持っていると気づいたタレクは、彼を通して恋人・ドラに連絡を取ろうとする。
タレクは、出版社の上司に実験の一部始終を伝えることで、外部の力を使って強制的に実験を終わらせようとしていた。
タレクが実験中止のために水面下で動いていると察したベルスは、ボッシュを捕えて看守らにリンチさせ、囚人たちと同じ房に閉じ込める。また、ドラには嘘の伝言を伝えて追い払う。

トーン博士の不在を知ったベルスは、看守らを扇動して囚人たちを痛みつける。また、実験の監視をする研究者チームも拘束し、看守・エッカートはグリム博士をレイプしようとする。
(ここで、グリム博士のヌードが披露されるのだがスタイル抜群・胸もめちゃくちゃ綺麗。まあまあおばさんでルックスも良くはないのだが、そのアンバランスさが印象的だった)

自力で拘束を解いたタレクは囚人たちを解放し、グリム博士を救う。グリム博士から脱獄ルートについて教えてもらった囚人らは出口に向かい、看守らとの追跡劇が始まる。

実験場に現れたトーン博士は、想定外の暴動に驚きが隠せない。暴動によって正常な判断ができなくなったエッカートがトーン博士を殺害。
エッカートと対面したボッシュは、自分をリンチし収監したエッカートに復讐を果たす。
(個人的にはこのシーンが一番の胸糞。看守の中で唯一良心を持ち続けたボッシュが、形は違えど暴力的になることを証明してしまうシーンだった。)

タレス&シュタインホフ vs ベルス率いる看守グループの対決。
ベルスは包丁でタレスを刺そうとするが、その包丁の刃ををタレスが握って止める。ちょうどそのタイミングで、タレスの恋人・ドラもその場に現れ、看守の空気銃を使って他の看守らを制圧する。
※ドラは、刑務所でタレスと面会して以降、実験に対して不穏なものを感じていたため、トーン博士と直接話そうと思って実験場に来ていた

冷静さを取り戻した(※というよりは、血を見て焦ったことで動けなくなった?)ベルスを、シュタインホフが殴り倒す。
シュッテを撲殺したことに怒るシュタインホフは、ベルスを絞殺しようとするが、ベルスに止められ寸前で思いとどまる。

実験終了後、タレクとドラはカナダに向かう。
一方この実験は、死傷者を生み出したことが世間に明るみとなる。実験に参加中暴力を振るった者 & 研究者チームは、警察に逮捕される。
この実験は、ヒトラーによって行われた洗脳手法を使えば、誰でもコントロールが可能になることを証明してしまった。
※厳密には、徹底した管理下で「役割」を与えてしまったら、真面目な人間・規律を守ろうとする人間・組織に忠実な人間ほど暴力的な人格に改造できることの証明。


冒頭1〜2分でドイツ映画じゃないか?と思ったら当たってたw
というのも、ドイツ映画には独特のダサさ(映像の撮り方、音楽の使い方etc・・・)があって、そのダサさは今でも健在。
この映画の感心したところは、アメリカで行われたスタンフォード監獄実験という題材を、ヒトラーを生み出したドイツが映像化したこと。

仲間である看守らの囚人に対する振る舞いを嫌っていた、ボッシュが最終的には看守の一人・エッカートを襲うシーンで、皮肉なことにスタンフォード監獄実験の成功が証明されてしまった。
おそらく、実験当初のボッシュなら戦うことはせず、とにかく逃げることを優先してたはずなので・・・。

ちなみにこの映画は、アメリカで「エクスペリメント」という題名でリメイクされている。こちらは、プリズン・ブレイクの製作総指揮であるポール・アデルスタインが監督を務め、脚本は本作の脚本家チームが同様に担当。
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