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怒りのキューバのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

怒りのキューバ(1964年製作の映画)
4.5
以前から観たかったキューバのプロパガンダ作品。スコセッシやコッポラが絶賛し再公開されたことで知られている。優れたカメラワークによる映像のクオリティに震えた。赤外線フィルターを使って撮っているため、通常は密集した木々をモノクロで撮したら黒くなるところがフィルターにより白く反射し、人物を際立たせている。天国のように美しい白い島で、(アメリカの)大資本に搾取されて苦しむ人びとのコントラストが強く対比される。カメラが人の目のように自由に動き、キューバの歴史を記憶に刻もうとしていた。

キューバ革命によって社会主義国となったばかりのキューバがアメリカから国交と通商を断絶されたことで孤立し、カストロ政権はソ連に映画製作を依頼。
ソ連のミハイル・カラトーゾフ監督とカメラマンのセルゲイ・ウルセフスキーによって、東側の視点で作られた。

しかしプロパガンダとして製作されたものの、キューバでもソ連でも内容が評価されずお蔵入り。西側にももちろん公開されることはなかったが、皮肉なことに90年代にスコセッシやコッポラが再発見し高く評価され、日の目を見ることになった。

内容はアメリカの傀儡政権であった政府と、アメリカの資本家からの搾取による国民の悲劇と、農民や学生たちが反乱するまでを4話のオムニバスで描いている。

カメラワークの素晴らしさは類を見ない。バーでのダンスと歌の激しい動き、シームレスに見えるサトウキビ畑のシーン、暗い建物から小さな出口を出て行く明暗、葉巻工場の窓から入り通り抜けていく浮遊感、ヤシの木林を逃げ惑うシーン等々。

本作の製作のドキュメンタリーもあるそう。観てみたい。
また、ミハイル・カラトーゾフ監督の反戦映画「戦争と貞操」はカンヌでグランプリを受賞している。こちらも観ていきたい。


🌺leylaさん、ずっと観たかった作品、観ることができました。感謝です💓
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