クリーム

怒りのキューバのクリームのレビュー・感想・評価

怒りのキューバ(1964年製作の映画)
4.1
海辺からジャングルを映しだす見事なカメラワーク。波打ち際の幻想的な風景を映し「I AM CUBA」と言う女性の声が印象的。モノクロの美しさが際立つ。特に白が素晴らしい。椰子の映像で、椰子の葉が白っぼく映る。これは、素敵だった。ボロい小屋まで洒落た空間に観せるのはお見事。内容も当時のバティスタ政権に対する反発だと思うと興味深い内容です。歴史的価値のある映画でもあると思います。

YouTubeで英語字幕で鑑賞するんですけど、そんなに字幕出て来ないし、案外理解出来ます。ちょっと字幕が早過ぎる所もあったけど、お家鑑賞なんで巻き戻せばOK。
内容は、知っててから観た方が解りやすいです。

4つのエピソードによって構成されていて、革命直前のキューバの現実を描いている。
このころのキューバは、アメリカの支配下にあって、それをバティスタの軍事独裁政権が支えていた。
最初のふたつのエピソードでは、反アメリカへのメッセージが強い。
3つ目のエピソードでは、この圧政のなかで自由を熱望する民衆のエネルギーがついに爆発するも潰される。
しかし、その余波が怒りとなり、4つ目のエピソードへと受け継がれてゆく。

1.マリアは、ハバナの歓楽街のクラブで、生活の為に身を売っていた。ある日、アメリカ人観光客を自分の貧しい小屋に連れ込んだ。翌朝、アメリカ人と恋人のルネが鉢合わせ。ルネは絶望しアメリカ人は出て行った。
2.ペドロは、灼熱の太陽の下、サトウキビ畑で働いていた。ある日「この土地はアメリカ人に売り渡した。すぐに出て行け」と言われる。彼は、畑と住みなれた小屋に、火を放った。
3.学生運動家エンリケは警視総監暗殺を計画した。だが、総監の人間らしさを見て暗殺出来なかった。しかし、学生達を警官隊が急襲し、その学生達を、警視総監は、顔色一つ変えず射殺した。「闘わなければ」とエンリケは、校庭で集会を開いた。そして、その集会は怒りのデモに変わる。激しいデモの人垣にホースの水が飛び、射撃の音が響いた。エンリケは警視総監に射殺された。
4.貧しい農民マノロは、妻子と共に暮らしていた。ある日、銃を待った男が、マノロの家に立ちよった。男はカストロのゲリラ部隊に加わる為に長い道を歩いて来た。男が去って間もなく、政府軍の飛行機が現われ爆撃を開始、マノロの家は破壊され子供が殺された。ここで初めてマノロは敵を知り、戦いの必要性を悟った。彼はカストロのゲリラに加わるためにシエラ·マエストラに向った。

現実の悪夢と、そこから抜け出んとする革命の夢。
キューバよ立ち上がれ的なプロパガンダ映画なのだと思われるが、とにかく美しい映像に魅了されます。観れて良かったです。
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