内田裕也氏の若かりし頃の映画はどれも面白い。誰かが「裕也氏のプロデューサーとしての才能は凄い。ロケンロールのヒットはないけど」とコメントしていたが、その通りだなと思った。
十階のモスキートの時もそうだが、うだつが上がらない冴えないサラリーマンが会社や家庭から抑圧されていき少しずつ自我が崩壊していく様をとてもシュールに演じきれていて、きっと武がやってもこうはならない、まさに内田裕也にしかできない世界感だなぁと感じた。
まだテレビにコンプライアンスがなかった時代。まだマスコミが日々スクープを撮ろうとギラギラしてた時代。こんな時があったんだよなあとなんだか寂しくなってしまう。
この80年代の暗く殺伐とした社会情勢も令和になって改めてみるとこの頃のほうがまだいい時代にみえてしまうのが皮肉で切なく感じた。