ダイナ

コミック雑誌なんかいらない!のダイナのレビュー・感想・評価

4.2
80年代中盤の日本マスメディアの混沌ぶりをユーモアに映したコメディ映画。世間体やプライベートを度外視した人気取りのための奮闘はいつの時代もといった所ですが、公道でピンク映画撮影とか、「豊田商事会長刺殺事件」のシーンなんかこれ実話ってマジ?というほどの描写で圧倒されます。規制がまだ緩い時代のジャーナリズムは加熱し危険な領域へ…。

主演の内田裕也氏の死んだ表情と淡白なビジネス演技が良かったです。自分はグラサン白髪のファンキーな姿のイメージしかありませんでした。マスコミに囲まれるとある役で出演するビートたけしのキレた演技良い味ですが、注目したいのは本作の公開日。1986年2月公開ということで、この10ヶ月後にたけしが「フライデー襲撃」を起こすわけです。その時のマスコミ前での姿やトーク。本作中の姿以上にギラギラしているわけで比較してみると面白いです。

トーストにサプリかけて食いながら箱テレビ複数台をウォッチする姿が普通のようで病的に見える所にやや狂気を感じる主人公、ネタを求めインタビューでたくさんの人を追い詰めながらも段々と彼自身が自分の立ち位置について意識し始めてのクライマックス結構好きです。時代が時代ゆえ過激描写はフワッとしているものの、それをモノともしない大スキャンダル、またできるだけ忠実に再現(出来事に関連した有名人を出演させるという力技)するという手心にエネルギッシュさを感じます。

コミック雑誌が必要だ!と言いたくなるほど波風立たない日常に囲まれたいですね。人間社会でそんな時代来るんすかね。以上、恐縮です。
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