taka

ファニーゲームのtakaのレビュー・感想・評価

ファニーゲーム(1997年製作の映画)
4.0
言わずと知れた胸クソ映画
自分も例に漏れずイヤ〜な気持ちになったし、フィクションで良かったと心から思う

でも嫌いにはなれない、むしろ愛すべき「良質な胸クソ映画」と言って良い
セルフリメイク作でも役者以外の変更点がほとんど無く、この時点で既に完成された作品

最初と最後に使われるジョンゾーンの音楽も新旧変わらず
ニューヨークジャズの異端児ジョン・ゾーンが山塚EYEをゲストに迎えたネイキッド・シティの音源で、言語化出来ない絶叫と暴れ回るサックスでこれでもかと不快感を煽ってくる
でも、改めて客観的に聴くとバカバカしい音楽でもあるので、あんまりマジにならず楽しんで良いんだよというメッセージにも受け取れる
タイトルもファニーと謳っているわけだし


監督のとにかく不快にさせる作品を作りたいという愛と情熱の傾け様はノイズミュージシャンに近いものを感じる

大多数の人がただの騒音としか感じないであろう事を知りつつも、それを愛し真剣に音作りをしていく
その際、無闇矢鱈と大音量にすれば良いというわけではない
聴衆の耳を破壊しない程度に調整し、最低限の形と秩序を制御しながら提示しなくてはならない
そしてその中にはノイズミュージックなりの美意識もちゃんと存在させる

ハネケはファニーゲームを「良質な胸クソ映画」として彼の美意識のもと完成させた
逆説的に「心底嫌い」「もう二度と観ない」という感想はハネケ的には大大大成功であり、気に入ってくれた人が存在するのもまた成功なのだ


実際、ハネケが楽しみながらこれを撮ったのかは定かでないけど、ジョンゾーンはネイキッドシティでの演奏をめちゃくちゃ楽しんだことだろう
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