千年女優

ファニーゲームの千年女優のレビュー・感想・評価

ファニーゲーム(1997年製作の映画)
3.0
オーストリア湖畔の別荘に訪れた家族で、隣家に住む夫妻が白い手袋を身に着けた見知らぬ男ふたりと共にいるのを見かけた夫ゲオルクと妻アンナに息子ジョージ。数刻後、卵のお使いに訪れた件の二人組と些細な諍いを起こした一家が、突如態度を豹変させて明朝まで生きていられるかのゲームを持ちかけられる様を描いたスリラー映画です。

ウィーン大学で学んだ哲学や心理学を活かした人に渦巻く複雑怪奇な感情にアプローチするオーストリア人監督ミヒャエル・ハネケが手掛けた1997年公開作品で、カンヌ国際映画祭で公開されると上映終了までに観客の三割が退席するなど挑発的な作風が物議を醸しつつも一定の評価を獲得し彼自身の監督でアメリカ版リメイクが作られました。

序盤からアクセル全開で不快な展開が始まり、スリルが緩みそうになるところを本作たらしめる第四の壁を越える観客への「煽り」で維持します。とは言えスリルや恐怖の中心にあるのは露骨な肉体的ダメージ中心でじわじわ追い詰める心理的な追い込みや抑揚がないのでは片手落ち感がありますが、ジャンルを皮肉るスカし効果ある一作です。
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