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シベールの日曜日のmoricoのネタバレレビュー・内容・結末

シベールの日曜日(1962年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

記憶喪失の青年ピエールと両親に捨てられ寄宿学校に入れられた孤児シベールとの恋愛映画。

美しい森の映像や2人の純粋な心の交流の描写が素晴らしい。

恋愛映画という視点で語られがちだが、私はこの映画が「戦争の残酷さ」を描いているとどこかの本で読んだためか、一貫して「暴力の虚しさ」がテーマのように感じた。

戦争という暴力によって記憶を失った青年が、嫉妬に狂い人を殴り傷つけ、シベールとの逢瀬を邪魔されると恋人を殴り、最終的に(直接的に描かれていないが)警官の銃に撃たれ死んでしまう。

暴力で始まり、暴力で終わる。その対比のように2人の美しい恋が描かれ際立つ。静かな映画であるが、全くもって時間を忘れてしまう程充実した映画体験だった。
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