ポンコツ娘萌え萌え同盟

御存じ快傑黒頭巾 マグナの瞳のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

3.3
勤王派志士で、ピストルを放つ覆面ヒーローと言えばやはり鞍馬天狗か黒頭巾だ。先日高垣眸の「快傑黒頭巾(少年俱楽部文庫版)」読んだので鑑賞。とはいえマグナの瞳は派生作なので内容は全く別(調査した感じ高垣眸全集3巻に「マグナの瞳」はあるのでそれの映画化と思われる→※2023.11.24に下に追記)
共通点は黒頭巾が活躍するくらい。原点の物語を描いたと思われる1936年の映画と、1953年版は鑑賞方法が不明なので本作からで妥協。(1958年版は「快傑黒頭巾」の題だが内容が異なる)
原点の「快傑黒頭巾」が山鹿一家の物語で二重の意味で覆面ヒーロー要素の捻りが効いた黒頭巾のドラマに対し、本作は出島にて目的のため「マグナの瞳」なるダイヤの存在を求めて人間ドラマが描かれる純粋な娯楽活劇を映した内容になっていて一個人としては楽しめた。

しかし大友柳太朗の扮する黒頭巾は痛快だ。高垣の原点の「快傑黒頭巾」だと風来の如く快傑する彼だが基本的に”不殺”は貫いてた(先述した小説の「マグナの瞳」は不明だが→[2023.11.24追記]マグナの瞳では一部の事故除いて、なるべく不殺を貫いてた印象)。
だが映画版だと”不殺”の意味を殺害するかのように、ピストルを放ち、剣で悪を切る。
その大きすぎる改変が正解かはともかく、少なくとも娯楽時代劇の映像化にあたって仕方のないことだし、むしろ殺陣とかで見せた方が映像的な魅力はあると思う。とりわけ戦たり、石壁を壊したりと黒頭巾のヒーローものとしての活躍はOKだ。
なにより本作は有馬屋一家の喜多川千鶴の演じる「お蝶」の存在が魅力的だった。黒頭巾や松平とは別の目的を持ってるが故、対立的な位置に座するキャラクタだが彼女の存在が物語に奥行きを与えてる。



余談
今度マグナの瞳読むために国会図書館いかないとなぁ…

[2023.11.24追記]
高垣眸の『マグナの瞳』読んだけど全然話の内容違くて草。マグナの瞳を求めて描かれる人間模様は共通してそうだけど、映画版だと切支丹要素、セイロン島のマグナの女神とインド人司祭たち、悪役リューバンも存在しない(ちなみに大石広計の漫画版も少し読んだが筋的にたぶんほぼ大垣のものと同じ)。
代わりに映画版は原作にはない松平とお蝶の物語だ。
なので本作は言わば、高垣版が多国籍、国際的な内容に対して、映画版は国内的な内容になっている。なので内容で比較するのが難しい
ニセ黒頭巾とかも出てくる高垣版のほうが善者としてのヒーロー物語ではあるが、
ただ黒頭巾がヒーローでかつ、勤王の志士のキャラクターでそれを描いた作品としてみるならぼくは映画版の物語の方があってる気がする