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ヒット・パレードのCANACOのレビュー・感想・評価

ヒット・パレード(1948年製作の映画)
3.3
イヤミスを観てモヤモヤしてしまったので、ビリー・ワイルダー脚本作品を鑑賞。おかげで全部吹っ飛んだよ! そうそう、こういうこと!

監督は『紳士は金髪がお好き』のハワード・ホークス。自身が監督した1941年公開作品『教授と美女』を、自身でミュージカル映画にリメイクしている。主演はダニー・ケイ。1948年公開。

トッテン財団の出資により音楽史の編纂に携わってから、かれこれ9年。若きホバート・フリスビー教授をはじめとする7名の教授たちは、財団から引導を渡される寸前まできていた。
そんななか、窓拭きの黒人2人によって、市井の音楽にふれる教授たち。伝統的な音楽しか知らない教授たちは、流行りの音楽を、何も知らないことに気づく。そのことに焦りを感じた、唯一の若手であるホバート・フリスビー教授(ダニー・ケイ)は、勉強のため、街のナイトクラブでバンド音楽にふれる。
ハンサムなのに初心なホバートは、そこで出会ったギャングのオンナに恋してしまう。そこから始まるロマンチック・ドタバタコメディ。

前作『教授と美女』は『白雪姫』に着想を得たとTSUTAYAの作品紹介に書いてあったが、読まなくてもわかるほど、教授たちはまんま7人のこびと。

“ハニー”を演じるヴァージニア・メイヨが白雪姫役のはずだけど、2000年代のビッチ女子顔負けの不良オンナで、純真無垢すぎる教授たちが可哀想になるほど。ただ、そのあたりもビリー・ワイルダーなので◯◯◯◯。

名クラリネット奏者のベニー・グッドマンが、メイゲンブラック教授を演じているが、本作では彼を「グッドマンの代わり」としてジャズセッションに招いたりする。「楽譜がないとできないよ」と言う教授、満面の笑みで「グッドマンならできる」と言うヴィブラフォン奏者のライオネル・ハンプトン。とても洒落が利いている。

物語としてガチで観れば、不自然に人が多く、恋も幼稚でシンプルすぎる筋なのだが、そこも含めて『白雪姫』風ミュージカルを狙ったなら、文句なし。
ノリはビリー・ワイルダー節全開で、笑わせる気満々。冒頭のトッテン夫人のノリノリ具合とかなんなの(褒めてる)。

ダニー・ケイだから純愛ものとしておさまってるけど、この脚本を顔芸も得意なジャック・レモンが演じてたらコントになっていたはず。
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