ダイヤモンド

しあわせの雨傘のダイヤモンドのレビュー・感想・評価

しあわせの雨傘(2010年製作の映画)
3.0
雨傘会社の創業者の娘スザンヌは社長夫人として、何不自由のない日々を過ごしている。
「私には孫がいて、庭造りに、刺繍に、詩がある」
でもどこか空虚。
それでも彼女は、女性の社会進出など一切認めない亭主関白の夫に、文句の一つも言えない。
「しあわせと決めたの」
夫は派手に女遊びをしているというのに。
そんな母親を、娘はこう評す。
飾り壺_。

ストーリーは、その後急病で入院した夫に代わって、彼女が社長に就任。旧弊な経営方針のために、社員がストライキを起こしていた会社を見事に蘇生させた。その手腕は明らかに新しい時代に即したものであったが、結局罷免されてしまう。
でも彼女は諦めない。なんと議員に立候補。もはや見てくれだけの「飾り壺」ではなくなった。

色彩がすごく素敵。屋敷の中がふんわりとした色調が、なんかフランス製パルファムの匂いがしそうで。
それにキッチン。明るい暖色系で、ポップで、かわいい。でも穿ってみれば、あれはスザンヌの空虚を埋めるためにこれでもかというほどに敷き詰めたからかも。

カトリーヌ・ドヌーヴ、ジェラール・ドパルデュー、ファブリス・ルキーニと、大物が勢揃い。名優の重厚さがまったく嫌味にならない、軽妙なタッチのフレンチコメディ。ご馳走様でした。

※雨傘会社のエンブレムがすごくおしゃれでした。