政治も不倫もおんなじ地平にあり。
確か原題は「幸せの雨傘」ではなかったと思います。
でも、カトリーヌ・ドヌーヴだから『シェルブールの雨傘』にかけたんでしょう。
専業主婦でしかなかった社長夫人が、夫の病気で一時的に社長職に就き、会社を再建させる。
社長であった夫と立場が逆転してしまうという、痛快だけど、ありがちな物語展開と思えますが…。
想像できる展開は中盤くらいまで。
この映画、後半の展開がすごいのです。
社長夫人、復帰した夫に社長職を取り戻されてしまうのですが、なんと、かつての恋人でもあった、組合出身の左翼市長を手玉にとって国政選挙に打って出てしまうのです。
貞淑と思われた夫人、実は若かりし頃から男たちを手玉に取っていたかのようで、物語の展開はいっそう痛快。
しかし、一番おもしろく感じたのは、フランス人にとっては恋愛も家庭生活も政治も同じ階層にあるってこと。
さすが、革命を起こした国です。
政治は専門家に任せておけばいいってんじゃなくて、自分が政治の主体者になることに何のためらいもないようです。
それも、不倫や家庭生活と同じように語られるところがすごいではありませんか。
フランスの政治意識の歴史を感じました。
お見事。
2015/12/11 22:33
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