パトレイバーといえば、ロボットが出てくるこち亀と形容される、明るくお気楽な作品だ。
しかし、アニメ映画ではそういった趣は排され、いわゆる大きなお友達向けなコアでマニアックな、ハードな世界観が売りのロボットアニメである。(そもそも各メディアごとで設定に食い違いがあるため、独立した作品と見るべきである)
そしてそういったハード路線の第一作が本作。
当時、コンピュータは一般人には無縁な代物であったが、そういった時勢下で、コンピュータウイルスやOSの不具合などの先進的な話題をストーリーの中央に持ってきている。
この辺りのシナリオ上の設定は、現代でも無理なく通用するものだ。
また、ロボットアニメで暴走といえば今でこそエヴァだが、それよりも早くに巨大ロボットの暴走というものをフィーチャーしている。
ざっくりシナリオを説明すると、新OS搭載のロボット(レイバー)が各所で散発的に暴走、その原因調査のために主人公たち警察官が奔走するという内容だが、件の新OSは政府から認可を受けたものであり、また製作にあたりメーカーとの癒着疑惑なども持ち上がるなど、混迷を極める難しい内容となっている。
そして、パトレイバーシリーズ全てに共通したことだが、あまりロボットが活躍しないロボットアニメである。
それがかえって、最終決戦のシーンを映えさせる。
ちなみに初期稿ではこの最終決戦はなかったらしい。これがないと、全編通してほぼ主役ロボットが出ないという異例のロボットアニメになっていただろう。(背景としてならたくさん出るが)