となりの

機動警察パトレイバー THE MOVIEのとなりののレビュー・感想・評価

4.5
とてもよかった。

こういうのが好きなんだろう、という要素・シーンがすべて入っているようで、悔しいけど素晴らしい。

OVAから、さまざまなジャンルに第二小隊のメンバーを置いて、描きたいものを描くようなスタイルで成功していたわけだけど、本作はのちの劇場版攻殻機動隊の世界に、第二小隊が入り込んだような展開。

後藤は「どう思う?」と問いながらも実のところ他の選択肢などなく、そうして第二小隊のメンバーらを手のひらの上で転がすわけだが、そのかれ自身もホバに転がされており、そもそも作中のすべてが創作者に転がされており……というふうに、エサを吊らされ、上手いこと踊らされるノアやアスマたちのドタバタを見るわれわれ自身もまた、見るほかない。
こうした意図が張り巡らされているように思ってしまうほどに、作り込まれている。
(再開発や、サイバーテロ、それらを可能にするグローバル資本主義の体制への目配せもある)
それゆえに、風通しはよくない。というよりも、それすらも取り込まれてしまうのであって、そこが美点であるだろう。

また、80年代的なアニメ表現が残りつつも、それこそ攻殻に至るような過渡期的なアニメーションもとてもよい。
厚く塗った機械の陰影などは重みを感じさせ、あまりに素晴らしい。
となりの

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