ゴンベ

吸血鬼ゴケミドロのゴンベのネタバレレビュー・内容・結末

吸血鬼ゴケミドロ(1968年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

唐突かつ念入りに何度も窓にぶつかってくる鳥であるとか、おどろおどろしい音楽と霧とで散々雰囲気を高めておいてからいきなり「バカッ」と額が開くのを見せるところ、また唐突にエロスに振って違う意味でドキッとさせてくる点まで含めて、無骨なショック演出が結構効果的に散りばめられている。生き残った乗客同士の疑心暗鬼描写に掛けては類似点の多い『マタンゴ』に一歩及ばないが、非常に見事なアダムスキー型のUFOが拝める点、そして何よりあの突き抜けたラストと赤い空の終末的イメージは特筆すべきものがある。キャシー・ホーラン演じるアメリカ人女性の英語台詞がところどころ字幕を付けられず、台詞というよりは単なる金切声の音声として描写されているのも、意図的なのかどうか分からないが切迫感があって良かった。

ただ墜落した岩場周りだけで80分もたせるのは難しかったと見えて、人が減るに従ってやられ方にバリエーションがなくなってくるのが惜しい(まあ、吸血鬼に襲われてるんだからその絵面になるのは仕方ないのだけど)。ベトナム戦争や政治家の汚職など、糾弾されるべきことがたくさんあったのは分かるが、そこを侵略宇宙人に突かれて人類全体が瓦解するというテーマをもっと集約して示せるようなシンボルがあれば良かった。あと「生き残ったのは10人だけ」という悲惨な墜落事故なのだが、事故前も事故後も他の乗客がほとんど映らないので、言うて全員生き残ってるみたいに見えるんだよなあ。
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