ドルフィンキック

吸血鬼ゴケミドロのドルフィンキックのレビュー・感想・評価

吸血鬼ゴケミドロ(1968年製作の映画)
5.0
松竹製作の怪奇特撮映画第1弾。
幼少の頃、夏休みの朝の地上波のテレビ放送だったかで(記憶違いでしたら、ごめんなさい。)、見ました。とにかく、あのハイジャック犯の額がパックリと割れて、その割れた額の中に、エイリアン(ゴケミドロ)が、侵入して行くシーンが、強烈で、トラウマになってしまう位、不気味で、物凄いインパクトが、あったのを憶えています。

そして、最近、中古DVDを購入して、再見しました。
久しぶりに見た感想は、68年の作品なので、90年代以降のJ-ホラー映画と言うよりも、昔、映画館で、リバイバル上映の怪談特集の上映会で観た、大昔のおどろおどろしい怪談映画とスペクトルマンや仮面ライダーなどの70年代の特撮作品を融合したような作品で、かなり楽しめました♪
劇中で、登場してくる、円盤が、スペクトルマンに登場する、宇宙猿人ゴリの円盤に似ているなあ~って思って、調べて、見たら、うしおそうじさん率いる、ピー・プロ協力作品でした。ミニチュア、セット、そして、あのピー・プロ独特の絵みたいな特撮描写が、この作品に、いい感じに、溶け込んでいて、グッと来ました♪

特撮技術は、CG全盛期の今、見ると、正直、チープですが、でも、あのチープさが、作品の雰囲気に凄く合っていて、逆に、新鮮でした。
墜落した、岩山は、まるで、仮面ライダーのラストバトルの戦いの舞台の定番である、採石場みたいで、崖から、岩石が、落ちて来たり、音楽が、仮面ライダーのBGMっぽかったり、70年代第一次変身ヒーローブーム、第二次怪獣ブームを予感させるものが、随所に、散りばめられていて、特撮ファンの者としては、ニヤリとしました。

内容は、飛行機が、謎の発光体に接触して、何処かの岩山に墜落して、そのあと、色々と大変なお話。
邦画としては、ボディースナッチャーもののパイオニア的な作品なんでしょうかね。
少し、洋画の「ヒドゥン」にも、何となく、似ているなあ~って思いました。
とにかく、後の作品に多大な影響を与えた作品みたいで、クエンティン・タランティーノ監督も、この作品の大ファンで、「キル・ビル」のあの赤い空に飛行機が飛ぶシーンは、「吸血鬼ゴケミドロ」が、元ネタだと知り、新たな発見が出来たのも、収穫でしたね。

飛行機が墜落した場所がどこなのか分からないので助けも来ない、水や食料もない、外にはエイリアンに寄生されたテロリスト犯がいる。極限状態に置かれた生き残った乗客達が、自分さえ助かれば、それで良いって言う、エゴ剥き出しの生き残りを賭けた争そいに発展して行く展開は、昔、レンタルビデオ(VHS)で、見た、「マタンゴ」を彷彿とさせて、人間の心の働きやありさま、欲望を色々なセリフや描写で、巧みに、上手く、表現されていて、面白かったし、尚且つ、登場人物達も、皆、キャラ立ちしていて、金子信雄さんを始め、幼少の頃、見ていた、テレビドラマの「雑居時代」の山本紀彦さんなどなど、アクが強くて、濃いキャラクターばかりで、皆さん、良い味を出していました。
なので、それぞれのキャラクターを演じた、役者さん達が、繰り広げる、演技合戦が、凄まじかったので、物凄く、引込まれました。
ハイジャック犯の高英男さんの怪演も、不気味でしたし、主人公の正義感のある副操縦士の吉田輝雄さんの熱演も、ナイス!でしたし、ヒロインの佐藤友美さんも、叫びの演技が、秀逸で、ルックスも、とてもお綺麗な女優さんだと思いました。

加えて、限定空間(飛行機の中。)での役者さん達の演技合戦(会話の掛け合い)は、「キサラギ」的な面白さも、あるし、限定空間(飛行機の中と岩山。)でのアクションは、「ダイ・ハード」的な面白さがありますね。
何か、僕の好きな作品の要素が沢山詰まった作品で、とても見応えがありました♪

総合的に考えて、終始、息を飲むような緊迫感に包まれた先の読めない展開に引き込まれて、そして、オーバーかもしれませんが、「猿の惑星」の衝撃的なラストを見たときの感覚と近い、本作の予想外の衝撃的なラストにも、度肝を抜かれて、唖然としてしまいました。
多少、ツッコミ所はあるかもしれませんが、細かい所を気にしないで、映画を見れるタイプなので、合格点ですね♪

もし、今後、リメイクしたら、物凄く、面白い作品に仕上がりそうな気がします♪