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吸血鬼ゴケミドロのkazu1961のレビュー・感想・評価

吸血鬼ゴケミドロ(1968年製作の映画)
3.6
▪️Title : 「吸血鬼ゴケミドロ」
Original Title :※※※
▪️First Release Year:1968
▪️JP Release Date :1967/08/14
▪️Production Country: 日本
🏆Main Awards :※※※
▪️Appreciation Record :2020-509 再鑑賞
🕰Running Time:84分
▪️My Review
超カルト、B級SFホラーの名作ですね。その内容はタランティーノも絶賛。タランティーノを始め、数々のホラー映画やSF映画に影響を与えた傑作SFホラーです。
その内容はシニカルでペシミズムに満ち溢れたもので世紀末を描いています。吸血型侵略宇宙人がもたらす恐怖のみならす、その存在におびえるあまりエゴ剥き出しになっていく人間そのものの醜さまで露呈させていきます。当時の日本映画としては珍しく救いのないディストピア的なSF映画として今も語り継がれています。

物語は。。。
謎の光体の接近により墜落し、岩山に不時着した旅客機の生き残りが遭遇する恐怖の体験。宇宙生物ゴケミドロが次々と人間の体に寄生しては、新たな獲物を求めていくのですが。。。
松竹が手掛けた初の本格的特撮怪奇映画で、『散歩する霊柩車』『海底大戦争』など怪奇SFに定評のある佐藤肇監督の代表作ともいえる傑作です。ノストラダムスの予言による世紀末思想をいちはやく映画に導入した斬新さと、ゴケミドロが人間に寄生する際の描写など、シンプルな特撮ながらも実に不気味で効果的な演出が素晴らしいです。人の額が割れてゴケミドロが寄生するシーンはトラウマになるほど。アメリカではR指定がされた程です。
吉田輝雄、金子信雄、高橋昌也などキャスティングも妙味で、彼らが醸し出す救いようのない人間不信のドラマとテイストは、映画全体のペシミスティックな雰囲気をさらに巧みにあおっています。特にゴケミドロに最初に寄生される高英男(本業はシャンソン歌手)の怪演は印象に残りますね。
本作は、そもそもは人間に乗り移る能力を持つ善玉宇宙人と、宇宙生物ゴケミドロとの闘いを描くというピープロ(『マグマ大使』や『宇宙猿人ゴリ』などで知られる制作会社)のTVシリーズ企画だったものが、いつしかゴケミドロを主体とする侵略SF恐怖映画へ移行したものです。なので、ゴケミドロの円盤はそのまま、ピープロの特撮テレビドラマ『宇宙猿人ゴリ』(フジテレビ)のゴリ博士の円盤に流用されているんですね。
前述のように、タランティーノも本作の大ファンであることを公言しており、日本のスタジオで撮影された映画『キル・ビル』には、本作で全編にわたって使われた「真っ赤な空」が彼の意向により、オマージュとして採り入れられています。
今の時代に再鑑賞すると、キッチュなB級感覚に満ちながら映えわたる特撮の数々も、作品の資質に大いに見合っていると感じられますね。昭和の怪作です!!

▪️Overview
「キャプテンウルトラ」の高久進と、「若社長レインボー作戦」の小林久三が共同でシナリオを執筆し、東映の佐藤肇が他社で演出したSFもの。撮影は「男の挑戦(1968)」の平瀬静雄。(引用:映画. com)

出演は、吉田輝雄、佐藤友美、北村英三、高橋昌也、高英男、加藤和夫、金子信雄、楠侑子、山本紀彦、キャシー・ホーラン。
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