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修羅雪姫 怨み恋歌のtakのレビュー・感想・評価

修羅雪姫 怨み恋歌(1974年製作の映画)
3.0
「修羅雪姫」の続編。警察に捕まり死刑宣告された雪だったが、死刑執行直前、秘密警察に身柄を拘束され、反体制思想家徳永乱水が握る極秘文書の奪取を命じられる。女中として徳永の元で働くようになった雪だが、乱水も素性を知っていた。雪は次第に乱水の考え方に共感するようになる。秘密警察は乱水を拉致し、さんざん拷問し、ペスト菌に感染させて解放した。雪の復讐の炎が燃え上がる。

この2作目は話自体も描写もとんでもなくエグい。ペストで死んだ伊丹十三の真っ黒な死体、吉行和子の狂ったような復讐場面、「キル・ビル」みたいな眼球くりぬき。観ていて心が安まる暇がない。そのくせ1作目程のテンションが感じられないのが残念。

確かに1作目も壮絶だったけど、親の仇という筋の通った話だっただけに、観ている側もまだ理解できるのね。だけどこちらは物語の大半で雪はどちらかと言えば傍観者で、むしろ伊丹十三と原田芳雄の徳永兄弟が主役と言ってもいいくらい。そして何よりも不満なのはあの主題歌「修羅の花」が流れないこと。

しかし、大逆事件を始めとする明治時代の思想弾圧を題材にしているのはなかなか面白い。今じゃこういう映画は製作されないからそういう意味では大変貴重とも言える。
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