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十二人の怒れる男のtaominicocoのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.0
韓国のリバイバル版『8番目の男』を観て以来、やっとオリジナルの鑑賞が叶いました。ずっと観たかったから、嬉しい!

こちらはワンシチュエーション。
12人のおじさま陪審員がケンケンガクガク、無罪か有罪か議論します。

陪審員だから、シャツにネクタイ的な正装が必須なのかな?
モノクロだし、みんなおじさんだし、服装が似てるし、最初は誰が誰か分からなかった。
後半は12人のおじさんのキャラが際立ち、どんどん引き込まれていきました。

公判直後、無罪といったのはただ一人。
他11人の有罪支持者の揺れ動く心情が、この作品の見どころかなと思います。

職業も年齢も多分人種も(移民がどうのといっていたので)違う人たちが、激しく意見をぶつけ合う。

フィクションとはいえ、日本で本作のリバイバルを作っても、こう激しい舌戦にはならない気がする。


ーーとりあえず挨拶はして、お天気の話なんかもするのかな?
で、年長者っぽい人が「まぁー、ぼちぼち、はじめましょうか」とかなんとか言って、波風を立てずいい落とし所をみんなでへらへらと探す……みたいな?
はぁ…これじゃ、映画にならないわ😩

本作の怒れる男たちは、民主主義の原理に基づいて、熱く陪審員を努めようとしているように見えました。

わたしは特に、ある男の「偏見こそが真実を見る目を曇らせる」というセリフに唸りました。
人の生死がかかっている状況を、誠実さを持ってシビアに考えられる彼がいてよかったなぁと。

韓国版は本作に比べると、年齢層がバラバラで男女比が半々ぐらいなのが良きところ。
時代の流れもあるのかな?

中年以降の人がみんな早く帰りたい「パリパリ文化」丸出しで、インテリ風情の人が皆を丸め込もうとしていたのが、韓国版らしさかも?とふと思いました。

この作品、設定が大好きなので他の国のリバイバルも観てみたい!
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